夜になってもなかなか眠れない、寝ても疲れが取れない…。その原因は「入浴の仕方」にあるかもしれません。
入浴は単なるリラックスではなく、自律神経を整え、深い眠りをつくるための“準備”です。今回は、睡眠の質を上げるための理想的な入浴方法を、自律神経の観点からわかりやすく解説します。
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睡眠における入浴の役割

入浴には、眠りにつくための「体温リズム」を整える大切な役割があります。お風呂で温まると、一時的に深部体温(身体の内部の温度)が上昇します。その後、体温がゆっくり下がっていく過程で副交感神経が優位になり、自然な眠気が訪れます。つまり、「入浴 → 深部体温上昇 → ゆるやかな体温低下 → 眠気」の流れを上手につくることで、入眠の質が大きく変わるのです。
深部体温と自律神経の関係
入浴によって体温が上がると、一時的に交感神経が活発になります。しかしその後、深部体温が下がり始めると、副交感神経が優位になり、心身はリラックス状態へ。この「交感神経から副交感神経への切り替え」がスムーズに行われることで、眠りに入る準備が整い、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も促されます。そのため、入浴は“リラックスのため”ではなく、“体温と神経のバランスを整えるため”の時間なのです。
間違った入浴法に注意

リラックスのつもりで行う「ぬるめの半身浴」や「短時間入浴」は、実は睡眠の妨げになる場合があります。
半身浴15分では身体は温まらない
よくある38〜40度の半身浴15分では、体の深部まで温まらないことが多く、皮膚表面だけが温まって終わります。浴室が寒いと上半身は冷えたままになり、結果的に体の中心部(深部体温)は上がりません。深部体温が上がらないまま入浴を終えると、リラックスどころか免疫力の低下につながり、がんや感染症リスクを高めるとも言われています。
ぬるすぎるお湯では逆効果
「リラックス目的で38度」といわれることがありますが、人の体温は平均36〜37度前後なので、入浴中にお湯の温度は下がり、結果的にぬるま湯になります。この温度では深部体温が上昇せず、副交感神経ばかりが働いてしまい、体が緩みすぎて冷えを招きます。理想は39〜41度以上のお湯を保つこと。特に冬場は浴室をしっかり暖めた上で、温度をキープすることが大切です。
理想の入浴方法

眠りやすい体をつくるには、深部体温を0.5度以上上げる入浴がポイントです。
理想は「40度以上×15分以上」
40度以上のお湯に15分以上浸かることで、皮膚だけでなく深部までしっかり温まります。入浴後は1時間半ほどかけて深部体温が下がっていくため、そのタイミングで自然に眠気が訪れます。つまり、「入浴→1時間半後に就寝」が、最も眠りやすいリズムです。
高温浴(43度以上)の場合
43度以上の高温浴では、入浴時間が短すぎると皮膚表面だけが熱くなり、交感神経が刺激されて逆に眠れなくなります。15分以上入れる場合は高温でもOKですが、短時間しか入れない場合は、もう少し温度を下げるか、最後に冷水シャワーを使って皮膚体温を下げ深部体温を上げる方法がおすすめです。
入浴後のセルフケア

入浴後の過ごし方も、睡眠の質を大きく左右します。
深部体温を下げる工夫
入浴後すぐ寝る場合は、深部体温をスムーズに下げる工夫を行いましょう。手のひら・足の裏・首などを保冷剤やアイスリングで冷やすと、眠気が促されます。逆に、靴下や手袋を着けると深部体温の放熱が妨げられるため、どうしても寒いときは「入浴温度を上げる」ほうが有効です。
上村式・冬の入浴アレンジ
寒い季節は40度では深部体温が十分に上がらないこともあります。その場合は43度程度に設定し、15分以上しっかり入浴してください。仕上げに短時間の水シャワーで皮膚体温を下げ、その時間が経過し、反動で副交感神経が優位になるように整えます。この「温冷リズム浴」は、自律神経のバランスを整えるのに非常に効果的です。
まとめ
- 40度以上で15分以上の入浴を目指す
- 入浴から就寝まで約90分のタイミングを意識する
- 入浴後は手足や首を冷やして深部体温を下げる
- 寒い季節は温冷リズム浴(温→冷)で自律神経を整える
入浴は「温まるため」だけではなく、「眠る準備を整えるため」の時間です。これらのポイントを意識するだけで、睡眠の質は確実に変わります。眠れない夜を改善する第一歩は、寝る前の1時間半。お風呂の入り方を見直すことが、最高の睡眠薬になるのです。







