頭痛と一口にいっても、その種類や原因は多岐にわたります。
多くの人が経験する緊張型頭痛や偏頭痛に比べて、一般的にはあまり知られていないのが「群発頭痛」です。
この頭痛は「世界三大激痛」と呼ばれるほどの強烈な痛みを特徴としており、心筋梗塞や尿路結石と並ぶ激烈な症状を引き起こします。
それにもかかわらず、社会では十分に理解されていないため、患者さんが苦しんでいても「頭痛くらいで」と誤解されることが少なくありません。
本記事では群発頭痛の特徴や原因、セルフケアの注意点について詳しく解説します。
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群発頭痛とはどんな頭痛か

群発頭痛は、1000人に1人が発症するといわれる比較的まれな頭痛です。
主に20代から40代の男性に多く見られますが、女性にも起こることがあります。
世界三大激痛のひとつ
群発頭痛は「心筋梗塞」「尿路結石」と並んで世界三大激痛の一つとされています。
その痛みは「片側の目の奥をアイスピックで突き刺されたよう」と表現されるほど強烈です。
しかも一度の発作で終わらず、群発期と呼ばれる期間に毎日のように繰り返し起こるのが特徴です。
群発期と周期性
群発頭痛は数年から数か月ごとに訪れる「群発期」に集中して発作を起こします。
群発期は1〜2か月続き、その間はほぼ毎日決まった時間に激しい頭痛に襲われます。
特に夜間や明け方に発作が起きることが多く、睡眠の質が大きく損なわれる点も特徴的です。
群発頭痛の原因とメカニズム

群発頭痛の正確な原因はまだ明らかになっていません。
しかし複数の仮説が提唱されています。
血管と神経の関わり
偏頭痛と同じく血管の拡張が関与していると考えられています。
内頸動脈が拡張し、その周囲の神経(三叉神経の眼神経)を圧迫することで目の奥に強烈な痛みが出るとされます。
視床下部の異常
研究では、脳の「視床下部」の機能異常も関わっていると考えられています。
視床下部は自律神経の中枢であり、体内時計を調整する働きを持ちます。
群発頭痛が夜間や明け方に集中して起こることは、この視床下部のリズム異常が影響している可能性があります。
群発頭痛の誘因

正確な原因はわからずとも、群発頭痛の発作を引き起こすきっかけはいくつか知られています。
ここでは誘因となるものをいくつかご紹介します。
飲酒と生活習慣
群発期における飲酒は発作を誘発する典型的な要因です。
アルコールは血管を拡張させるため、発作の引き金となることが多いのです。
また、不規則な睡眠や生活リズムの乱れも群発頭痛の発症リスクを高めます。
気圧や環境の変化
気圧の変化も群発頭痛を誘発するといわれています。
飛行機の搭乗、登山、高所滞在、さらには雨の日など低気圧環境では発作が起きやすくなるため注意が必要です。
群発頭痛と社会的な誤解

群発頭痛はあまり一般に知られていないため、職場や学校で理解されにくい頭痛でもあります。
発作中は動くこともできないほどの痛みに襲われますが、発作が終わると何事もなかったようにケロッとして見えるため、「仮病なのでは」と誤解されることもあります。
そのため、患者さんは周囲に理解してもらうことが難しく、つい「たまに頭が痛くなるだけ」と軽く説明してしまうケースも少なくありません。
群発頭痛に対する社会的な認知度を高め、正しい理解を広めることが患者さんの生活を支える上で重要です。
群発頭痛の発作体験談

群発頭痛を経験した患者さんは、その痛みを「バットで殴られ続けているよう」とか「目の奥をドリルでえぐられているよう」と表現します。
ある患者さんは「発作が来る時間が分かるほど規則的で、毎晩深夜2時になると目の奥に激痛が走る」と語ります。
発作中はじっとしていられず、壁に頭を打ちつけたり床を転げ回る人もいます。
しかし発作が数十分から数時間で治まると、嘘のように痛みが消え、普段通りに生活できるのも群発頭痛の特徴です。
この「発作時と普段とのギャップ」が周囲からの理解をさらに難しくしています。
群発期に避けることとやること

群発頭痛の群発期には、避けた方がよい行動や習慣があります。
やってはいけないこと
・飲酒
・飛行機や登山など気圧の変化を伴う行動
・入浴(血管拡張を招くため、シャワー程度にする)
・頭部を冷やしすぎる
・マッサージや強い刺激
・激しい運動
これらはいずれも血管や神経に刺激を与え、発作を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
群発期にやること
群発期には、症状を和らげたり発作をコントロールするための対策があります。
薬物療法
発作時にはトリプタン製剤が有効です。
これは偏頭痛にも使われる薬で、血管の拡張を抑え痛みを和らげる働きをします。
また、医療現場では酸素吸入も治療に用いられます。
これは深呼吸によって酸素を取り入れることが痛み軽減につながる仕組みと関連しています。
セルフケアの工夫
セルフケアの目標は「内頸動脈の過剰な拡張を抑えること」と「自律神経のバランスを整えること」です。
そのために有効なのが深呼吸です。
酸素を十分に取り込みつつ、自律神経の安定にもつながります。
部屋を暗くして刺激を減らすことも有効です。
また、氷を食べて喉の奥を冷やすことで三叉神経や神経節への刺激を和らげる工夫もあります。
さらに、カフェインを適度に摂取して脳血管を収縮させることで痛みが軽減する場合もあります。
群発頭痛と偏頭痛の違い
群発頭痛と偏頭痛はどちらも血管拡張が関与しているとされますが、その性質は少し異なります。
以下の表で比較してみましょう。
| 特徴 | 群発頭痛 | 偏頭痛 |
|---|---|---|
| 発症頻度 | 1000人に1人程度のまれな頭痛 | 10人に1人、特に女性に多い |
| 年齢・性別傾向 | 20〜40歳男性に多い | 20〜40歳女性に多い |
| 痛みの部位 | 片側の目の奥 | 片側のこめかみ〜前頭部 |
| 痛みの表現 | アイスピックで突かれる、バットで殴られる感覚 | ズキズキと脈打つような痛み |
| 発作の持続時間 | 15分〜3時間を毎日繰り返す | 数時間〜数日続 |
| 群発・周期性 | 群発期が数週間〜数か月続く | 周期性はあるが群発ほど規則的ではない |
| 随伴症状 | 目の充血、涙、鼻水 | 吐き気、めまい、光や音への過敏症 |
| 治療法 | トリプタン製剤、酸素吸入 | トリプタン製剤、予防薬、生活習慣改善 |
このように、群発頭痛と偏頭痛は似ている部分もありますが、発作の特徴や周期性、痛みの表現などに少し違いがあります。
まとめ
群発頭痛は「世界三大激痛」といわれるほど強烈な頭痛であり、一般的な偏頭痛や緊張型頭痛とは異なる性質を持ちます。
周期的に群発期が訪れ、その間は毎日のように激しい痛みに襲われるため、生活への影響は非常に大きいものです。
原因は完全には解明されていませんが、血管の拡張や視床下部の異常、自律神経の乱れが関与していると考えられています。
発作期には飲酒や気圧の変化を避け、薬物療法とセルフケアを組み合わせて対処することが大切です。
また、社会的な認知度を高め、患者さんが「仮病」と誤解されずに安心して療養できる環境を整えることも重要です。
群発頭痛は単なる頭痛ではなく、体からの深刻なサインです。
正しい知識と理解を持ち、適切に対処していきましょう。







